事故調査の在り方 同じ事故を繰り返さないために責任追及より原因究明を
上村キャスター:
海保機に乗っていた5人の方が亡くなり、さらに多くの命が失われる恐れがあった大事故ですが、取材をすると多くの乗客が「客室乗務員の指示のおかげで落ち着いて行動することができた」と、感謝の言葉を口にしていました。
日航機の乗員・乗客全員が脱出できたのは、日々の訓練の成果だと思います。危機に直面した時に、瞬時に適切な対応を取ったり、声かけをしたりするのが人間のできることですが、一方で人間だからこそ、どうしてもヒューマンエラーというのは起き得ます。
元機長の小林さんが、「チェーンオブイベント」という言葉を口にしていました。1つのエラーがあっても、管制システムや管制官による安全確認、そしてパイロットによる安全確認など、どこかひとつがうまく機能していたら事故につながる鎖を断ち切れたかもしれない。しかし、今回はそのすべてをすり抜けて事故が起きてしまったということです。
膳場貴子キャスター:
この先、気を付けて見ていきたいのは事故調査の在り方です。日本では原因究明よりも責任追及に重きをおく傾向があります。運輸安全委員会が調査を始めましたが、その調査結果が刑事裁判の証拠に使われる可能性があるために、当事者が口をつぐんでしまって事故原因の究明に支障を来すということが長らく指摘されてきています。今後、事故を繰り返さないために、すべてを明らかにするという目的で調査が進むことを期待します。