医療環境と戦争の関係 沖縄とも重なる背景が

カンボジアは、1970年代のポルポト政権下で人口の4分の1の住民が犠牲になっただけではなく、医師など知識層が虐殺された影響で医療が崩壊。20年に及ぶ内戦の影響で、いまだに医師不足に悩まされています。
カンボジアが辿ってきた歴史が、沖縄に重なる部分があると嘉数さんは話します。
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「戦後は医者が全然いなくてすごく困ったとか、栄養状態も悪いし衛生環境も悪くて、たくさんの病気が流行ったりマラリアが問題になったりとか、いろんな問題が戦後あったというふうに聞いてます。沖縄の経験とかをカンボジアに還元するじゃないですけど、伝えることでカンボジアの医療を沖縄みたいに、戦後復興してきた体制をカンボジアでも、改善するような一助にはなるかもしれない」

先月、那覇市で開かれた平和を考えるシンポジウムに嘉数さんが登壇。医師の視点から国際社会に働きかける平和の取り組みについての講演を行いました。
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「沖縄と日本、アジアと世界をつない人材育成をしていく。未来を担う人材を、国内外を行き来しながら育成したいと思っています」
講演を聞いた高校2年生
「国際機関にすごく興味があるので今日のお話すごく勉強になった」
90代女性
「平和を愛するから命のことに取り組めるのよね。医療の面からも戦争の体験面からもね」

カンボジアの復興が進む中でも平和の重要性を訴える嘉数さん。それは近隣国、ミャンマーの情勢が依然として厳しい状況に置かれているためです。
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「2021年、クーデターが起こってからミャンマーの医療状態がすごく悪くなってしまっていて、助からずに亡くなるお子さんも多いんですよ。手遅れになってしまったとか。ミャンマーだとどうしても治療の設備だとか、手に入る薬だとかいうのが限られてしまうので、そういった子たちをカンボジアにも連れてきて治療をしていますね」
「なかなかやっぱり医療っていうのは、大事なインフラ生活に必要な基盤の一つなんですけれど、こういうもののベースはやっぱ平和があると思うんですね。やっぱり平和がベースにないと、本当に医療っていうのがまともにできない」