カンボジアでボランティア医師として活動する、嘉数真理子さん。カンボジアはかつて長期にわたる内戦で、医療体制が崩壊した国です。その立て直しに尽力している嘉数さん。現地の人たちの命を救い、現場の人材を育てる彼女の思いに迫りました。
2割だった小児がんの生存率を5割にまで伸ばした女医
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「日本だと8割以上が治るような小児がんといわれる病気が、もう2割も助かってないっていう現状。そのギャップをやっぱ何とか改善したい」

こう話すのは、国際医療NGOジャパンハートで小児科医として活動する嘉数真理子さん。2017年にカンボジアに赴任し、翌年には無償で医療を受けられる病院を立ち上げました。
小児がんを中心に子供の慢性疾患の治療に取り組んでいますが、つい7年前までカンボジアでは「がんは治らない病気」と考えられていました。
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「がんだから助からないから、もうおうち帰りなさいっていうふうに見捨てられる方が多いんですよ。子供だけじゃなくて大人も。そういった方々を断らずに受け入れてるんですけれど、一緒にやってきたスタッフが初めは信じてくれなかったんですよ。がんはちゃんと治療すれば治るよというのを、患者も家族も信じてないし」
「医療者もがんは治ると信じてないので『本当に?』みたいな感じだったのが、ちゃんとやったら治るんというのを積み重ねていくと、彼らに自信がついてきてこういうふうに治療したら、ちゃんと治るというのがわかってきて、そうすると自分たちで動くようになるんですよね」

嘉数さんが立ち上げた病院には、年間数百人の患者が治療を受け、スタッフの育成も進みました。嘉数さんの働きもあり、これまで2割程度だった小児がん患者の生存率が5割以上に伸びたといいます。
Q命を救うことと、現場の人たちを育てることも嘉数さんの使命?
ジャパンハート小児科医 嘉数真理子さん
「そうですね。直接救うのもすごく大事なんですけど、やり方を教えていく。現地のスタッフができるように支援してくのが今メインになってきてますね」
なぜカンボジアの医療の環境整備が遅れているのか。その背景には戦争の歴史がありました。