巨人に2022年ドラフト1位で入団した浅野翔吾(19)は、高松商業在学時の2021年に、イチロー氏(50)から指導を受けた。イチロー氏とキャッチボールなどを行った浅野はイチロー氏の「全力でいい形を作る」の教えを胸に、プロの舞台で戦っている。

高校通算68本塁打の長打力を持つ浅野は高卒1年目の今季、1軍で24試合に出場。打率.250、初本塁打を記録した。「イチローさんと同じ51番なので1日でもはやくイチローさんに近づけるような良い選手になりたい」。入団会見時にそう話した浅野は、イチロー氏の現役時代と同じ「51」を背負っている。

イチロー氏が高松商業を訪問した当時、浅野は高校2年生。「やろうか」とイチロー氏が浅野をキャッチボールに誘った。イチロー氏は試合さながらの、矢のような送球。浅野に「抜かないでバチっと!」と肩慣らしではなく強いスローイングを求めた。

バッティング練習ではホームランを連発し続けたイチロー氏。「これはバテてきた。けれどここから形を崩さずに振る練習が大事。疲れたからといって楽な形にならない。全力でいい形を目指してるんで」という言葉に、浅野は「全力の中で形を作るというのをあれだけ結果を残した選手がやっているんだと考えるとスッと素直に入ってきた」と話す。

浅野翔吾選手

高松商業は翌年夏の甲子園に出場。浅野は3本塁打、打率.700でチームを52年ぶりのベスト8に導いた。プロになった今でも「常に全力なんで、ここだけ全力なんで。もう全部、全部っすね」と「全力」を意識する。「自分は全力で走って。見てる小学生とかが『手を抜いてるなら自分も手を抜いていい』と思わないように夢を与えられるようなプレーを意識しています」。たとえ打ち損じても常に全力疾走で駆け抜ける。

「全力の中で形を作るというのは簡単ではないですけど、誰でも実践に移せることなのでルーティン化してやっていきたい」とイチロー氏から学んだことを忘れない。