『男の人に助けてもらって、計算なの?』女性カルチャーに困難

ーー女性でコミュニケーションが苦手というのは、他にも影響がありますか?
「特に女性社会だと苦労します。男性社会って雑な言い方をすれば、ミスをしても『おもろいやつ』っていう扱いになりますが、女性社会は調和を求めることが多く見られます。調和と協調を重んじるカルチャーですね。そのカルチャーから外れると排除されやすいですよね。
さらに困っている人のところには、男の人が寄ってきやすいんです。そうすると『男の人に助けてもらって、計算なの?』ってなることも」
ーー男性に媚びを売っている意識はないのに、そう見られてしまうんですね…。
「でも、普段疎外されている人たちは、こういうときに男性に助けてもらうと、やはり脳がとろけてしまうんですよね。最初はそんなつもりはなかったけど、助けてくれたことを学習してしまい、依存のような形になってしまうケースもあります」
特性を受け入れるには・・・“普通”とされる価値観ではない価値観に触れて
ーー本人の問題というより、特性による周囲との問題が積み重なって影響を受けていることがよくわかりました。大人になってそれが障害によるものだとわかっても、向き合うのは難しそうですね。
「障害と自尊心って、相矛盾するものなんです。発達障害の人は、一つの価値観にとらわれる傾向があります。それが少しでも劣っていると自分の価値を認められず、自尊心が傷ついてしまいます」
ーー女性には、娘、妻、母、と価値観が変化するということもありますよね。発達障害の女性はいったいどうしたらいいのでしょうか。
「いわゆる“普通”とされる価値観ではない価値観に触れることが大事です。
例えば、現代社会においては、効率よく仕事ができる、お金を稼げることが価値と考えられています。でも本来は、それは価値観の一つで全てではないですよね。他にも価値はあるということを理解し、自分の価値観に組み込んでいくっていうのが、大事になります。
SNS、病院や福祉、患者会でもいいです。日常とは違う人たちの価値観の中に入ると、多分見え方も変わってくるし、楽になるのではないかと思います」
(12月29日放送・配信『SHARE』より)
※1 厚生労働省 平成28年生活のしづらさなどに関する調査

















