今年5月、広島で開催された「G7首脳会合」は、ウクライナ・ゼレンスキー大統領の出席により歴史的なものになった。ロシアの侵攻が続く中、「電撃来日」とも形容される訪問は、どのように実現したのか。2023年を代表するニュースの裏側を、キーマンの一人であるコルスンスキー駐日大使に直撃した。(報道の日 2023 ディレクター 新田晃一)
G7出席「去年12月の時点で話し始めた」

ー「広島サミット」への出席について、ウクライナ政府はいつ、日本政府に打診することを決めたのでしょうか?
セルギー・コルスンスキー 駐日ウクライナ大使
「確か去年12月の時点で、ゼレンスキー大統領が広島サミットに出席する可能性について話し始めました。ロシアは最も先進的な民主主義国の集まり(G8)から追い出されました。ウクライナがG7に参加することはロシアを含む独裁国家に対して、民主主義の価値観はまだまだ重要であるという強力なメッセージになるだろうと考えていました。」
コルスンスキー大使は私たちの質問にこう答え、去年12月時点でウクライナ政府内で共有していた「G7に参加する意義」を明かしてくれた。一方、この時点で「対面」の出席が可能かは未知数だったという。
コルスンスキー大使
「当時はまだ新型コロナの余波が続いていました。ですから、去年12月時点では対面で出席するのか、オンラインで出席するのかは見通しが立っていませんでした。あるタイミングで、新型コロナの制限は撤廃されて、サミットが直接開催されるということが明らかになりました。そうなれば、私たちにも参加するチャンスが広がるだろうと思いました。」