親族に借金を重ね 昼はカップラーメン

冒頭陳述によると、2014(平成26)年3月、被告人と妻は、佐世保市にある市営アパートに入居。
妻には高血圧症や気管支喘息などの持病があり、複数の医療機関に通院、薬の処方を受けていた。
妻は、血糖値の測定やインスリンの注射が自分でできず、いつも被告がやっていたという。

夫婦は、市営アパートの家賃や駐車場代のほか電気代も滞納。
アパートの管理会社からは「3か月払わない場合、出て行ってもらう」か「“保証人”に請求する」と通告された。
その“保証人”となっていた親族にはすでに借金があったという──
弁護人:(保証人に請求すると)言われてどう思いましたか?
「困るな―と。(夫婦)2人の問題で、とにかく、2人でどうにか頑張ろうと」
夫婦は、夫の肉親や妻の親族らに借金を重ねていた。
支給される年金は返済に回され、加えて妻の通院費用や薬代がのしかかった。
弁護人によると「自転車操業だった」という。
生活は困窮し「毎日、昼はご飯とカップラーメン。夜は、スーパーで買った99円の惣菜だった」
親族は、地域の民生委員に「被告を市役所に連れて行って欲しい」と相談。
市役所では高額医療費の限度額適用申請を行ったが、生活保護については「2人の年金受給額では対象にはならない」との回答だったという。