自分たちの“ケンカ”でも変化する味
小坂さん夫婦が手がけるのは、太陽や風など自然の力だけで生み出す「完全天日塩」。海水を蒸発させる過程のなかで、1日に何度も海水を混ぜ合わせる作業を行います。
1日たりとも、製塩所から離れることはできません。黙々と塩と向き合う日々。気温の変化などデータ化して挑んだときもありましたが、小坂さん夫婦がたどり着いたのは、「香り」を感じること。

塩づくりは「感性や感覚を磨くこと」という、ひとつの答えを見いだしてからは、納得する塩ができ始めたといいます。それは修業時代、師匠が実践していた塩との向き合い方そのものでした。
▼英晃さん「本当に自然の力だけで作るので、季節や自分たちの体調によっても塩は変化します。それを安定した味に仕上げるというのが奥深い世界だなと。塩と向き合って、いまどういう状況か、見て香りを嗅ぐだけで判断しないといけないので。
▼千里さん「例えば私たちがケンカしていたりすると塩が『荒れる』といいますか、塩に伝わってしまうんですよね。そういうところにも塩の奥深さを感じます。」