この夏の猛暑で海水温が上昇し、養殖ホタテの稚貝が陸奥湾全体の平均で52.5%へい死していたことが判明しました。特に被害が深刻な青森市では緊急対策として6億3千万円あまりの補正予算案を追加提案する方針です。
宮下宗一郎青森県知事
「高温による災害が起こったという状況だったなと振り返られる」
宮下知事は21日、この秋に実施した陸奥湾の養殖ホタテの調査結果を発表しました。それによりますと、陸奥湾全体の平均で養殖1年目の稚貝は52.5%、養殖2年目の新貝は36.5%が死んでいました。
猛暑による大量死は、2010年にも起きていて、この時と比べると稚貝は約14ポイント、新貝は30ポイント下回り前回より被害は抑えられています。ただ、地域によって状況は異なり、青森市漁協では90.3%、野辺地町と平内町漁協で60%以上の稚貝が死んでいました。
青森市漁協 澤田繁悦組合長
「壊滅状態になったのが残念です。頑張って努力していい貝作るしか、死なないホタテ作るしかない」
被害が深刻な青森市では緊急対策として6300万円あまりの補正予算案を追加提案し、2024年以降の養殖に必要な親貝の確保などをはかる方針です。また、宮下知事は2024年1月中を目途に災害助成条例を発動し漁業者が借りる運転資金を支援する考えです。
宮下宗一郎青森県知事
「生産だけでなく流通や加工ということで裾野が非常に広い産業になっておりますので、この産業が危機的な状況にあるので問題提起をして、対策をして、そして県民の皆さまの理解を得ながら財政的な措置をしている」
陸奥湾の養殖ホタテは100億円産業とされていますが、県漁連の二木春美会長は2024年度の販売額は例年の半分ほどになると見込んでいて、今後、関係する業界に深刻な影響を与えそうです。