アメリカの中央銀行にあたるFRBのパウエル議長が、事実上の利上げ「終結宣言」を行い、2024年春にも利下げに転じるという観測が高まってきました。
FRBの予想外のハト派転換で、今後はアメリカの景気減速の程度が焦点になります。

3回連続据え置きで、利上げ『終結宣言』
FRBは13日、3会合連続で政策金利の据え置きを決定しました。
パウエル議長は記者会見で、「利上げのサイクルのピークにいるか、それに近い状態だ」と述べた上で、今回の会議で「誰も追加の利上げは示唆しなかった」と明らかにし、事実上、利上げ「終結宣言」を行いました。
さらにパウエル議長は、「金融引き締めの手を緩めるのはいつかという議論を今日行った」と明らかにしました。
これまでパウエル議長は「利下げ議論は時期尚早」との立場を繰り返し表明しており、姿勢転換を強く印象付けました。
2022年3月のゼロ金利解除から始まった、今回の急速な金融引き締め局面では、「利上げ打ち止め」や「利下げ期待」をはやし立てる金融市場に、パウエル議長が冷や水を浴びせる局面が何度も繰り返されましたが、今回、初めて、市場の「見立て」に、パウエル議長が歩み寄った格好になりました。
FRBは来年3回の利下げ予想
FRBが利下げ視野に転換したことは明白ですが、では、どの程度の利下げを想定しているのか。
公表された参加者の経済見通しでは、2024年末に政策金利は4.6%と予測しており、0.25%の利下げを3回行う計算になります。
前回の経済見通しでは、「来年2回の利下げ」で24年末の政策金利5.1%という予想でしたから、それより0.5ポイント低い水準です。
物価が沈静化しつつあることを受けて、パウエル議長としては、景気の減速の度合いを見ながら、経済を軟着陸させる、いわゆるソフトランディングに自信を深めているように見えます。