「50 年経っても新しい」大阪万博コンパニオンのユニフォーム

文化服装学院在学中に、史上最年少で「装苑賞」を受賞。受賞したことは、洋服を作る環境に育った「宿命」。明るい青が印象的な受賞作は「今でも着たいと思っている」唯一無二の作品だ。
1970 年の大阪万博開催に際し、コシノさんは黒川紀章氏からコンパニオンのユニフォームを作ってほしいと依頼される。デザインしたのは、ミニスカートにストレッチブーツ、パンツスタイルにボレロ風のコート。会場に展示された 3 体の衣装は、今の時代でも新しく、色あせない。
会場を進むと目に飛び込んでくるのは、赤と黒が鮮やかな「対極」という展示。形にも意味が込められる。自然や地球、宇宙を「丸」、人間がつくり出す合理を「四角」として表現し、それらを組み合わせた衣装や工芸品が並ぶ。「コンセプトが重要。独自のものは廃れないから」と本人が語るように、コシノさんは長年、自分自身のコンセプトは何かを考え続けてきた。そうして生み出されたのがこの「対極」だ。
続く「POROPORO」という作品群も、このコンセプトに基づくもの。美術館の大きな窓が開放された空間に並び、衣装に光が反射し、影を映し出す。コシノさんは自身の衣装を説明するときに「合理的」という言葉をよく用いた。光があるから良い影ができることも、衣装が提灯のように収縮し、持ち運びやすいことも「合理的」。同時に、意外性や面白さを求めてデザインしてきたことも、言葉の端々に垣間見える。