ヤジとヘイトをどう区別する?どこからが選挙妨害?

喜入友浩キャスター:
ヤジ排除で訴えていた桃井さんと大杉さん。2023年6月、二審の札幌高裁の判決は、桃井さんを警察官が排除した行為について「違法」だと指摘。一方、大杉さんについては、「周囲の聴衆ともめ事に発展し、暴行等を受ける危険性が切迫」「警察官の行為は社会通念上、妥当なものである」として、「適法」と認定しました。大杉さんは最高裁に上告しています。

山本恵里伽キャスター:
二審では桃井さんと大杉さんそれぞれに異なる判決が下されたというわけです。私はヤジは意見表明だと思いますが、言葉を間違えるとヘイトにも繋がりかねないと思っています。ヤジとヘイトの違いをどう考えますか。

映画「ヤジと民主主義劇場拡大版」の監督も務めるHBC報道部デスク 山崎裕侍氏:
札幌地裁の判決でも、表現の自由とはいえ無制限に保障されるものではないと指摘しています。大杉さんと桃井さんのヤジに関しては、特定の人種や民族への差別を助長したり、危害を加えるといった犯罪を扇動するものではないと認めてます。

山本キャスター:
ヘイトではないということですね。

喜入キャスター:
表現の自由の一方で、演説に耳を傾けたいという人もいると思います。選挙の妨害にあたるのか、あたらないのかという線引きはできるのでしょうか。

HBC報道部デスク 山崎氏:
1948年の最高裁の判決では、選挙妨害とは「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としています。一般的には拡声器を使って多くの人たちが妨害するといった行為を選挙妨害と位置づけられています。

山本キャスター:
演説がかき消されるような行為が選挙妨害ということですね。

HBC報道部デスク 山崎氏:
なおかつ、それによって演説が中止になってしまうというようなことです。
桃井さんや大杉さんの場合、街頭演説として公の場所だったということ、様々な意見を持つ人が自由に集まれる場所で、1人の人が自分の声を出していて組織的でもなく、選挙妨害に当たらないといわれています。

山本キャスター:
山崎さんが“ヤジ排除”を取材をした映画が公開されますが、何を一番伝えたいですか。

HBC報道部デスク 山崎氏:
ヤジというと一見、小さな自由が奪われたようにみえるかもしれませんが、小さな自由が奪われることを放っておくと、権力の暴走が止められなくなって、ロシアや香港のように大きな自由を奪われるということに繋がりかねないと思っています。そうした危機感を感じてもらえたら嬉しいです。

※動画内で紹介したアンケートは9日午前8時で終了しました。