◆竹との「会話」「格闘」

真っ直ぐ伸びる性質がある竹は、曲げても強い復元力を持っています。そのため、形を作ったら固定して一年間乾燥させ、戻った場合はまた熱を加えて曲げ、さらに1年間、形を固定する作業を繰り返します。


田辺良輝さん「真っ直ぐのものを熱を加えて曲げるので、竹も必死でしょうね。会話じゃないけど、竹と格闘ですよ」


安定するまでには、最低でも2年から3年かかるそうです。

田辺良輝さん「がむしゃらに削りまくるじゃなくて、いいところ残したい」

◆板金塗装の経験をいかす

形が完成したら、作りたいものに応じて素材の模様を生かしながら、磨き加減を調整します。最後は仕上げの色づけです。


いろいろ試した結果、使っているのは雨や高温に耐えうる自動車用の塗料。車の整備をしていた当時の技術や知恵がいかされています。


田辺良輝さん「車の仕事の延長線のような感じで、50年、100年残るようにしてやらんと竹もかわいそうですから」

◆インターネット販売も

何年もかけて完成した作品は、九州各地の飲食店などに売れて、店内を華やかに彩っています。


「旬風」岡本和夫オーナー「インパクトが強いんで、雰囲気は良くなりますね。他にない作品なので」

◆田辺さんの大きな夢

今年4月から、SNSでの情報発信やインターネット販売を始めたところ、海外からのアクセスも相次いでいます。視力を失って挫折した後に、もう一度ものづくりの楽しさを教えてくれた竹。制作に没頭する田辺さんには、叶えたい大きな夢があります。


田辺良輝さん「竹でドレスを作って、できるならパリに行ってファッションショーができたら、パリコレですね。まだまだやりたいです」