難題はイベントの後… 雪の後始末はどうする?

フェスティバルまであと2週間足らずとなった頃…。
後楽園に居を構えている安塚町の東京事務所から、1人の職員が小田急線で神奈川県大和市へ向かっていました。

10tダンプ500台以上の雪をイベント終了後どう処理するのか…
悩み続けていた問題を解決するためでした。

後楽園では次のイベントが控えており、イベント終了後3日間で雪を処理する約束になっていたのです。

とある町工場に赴き、超音波の力で一瞬にして雪を溶かしてしまおうという実験に立ち会いました。

冷凍マグロを解凍する超音波水槽を利用したもので、安塚町からダンプカー1台分の雪も用意して融雪実験に臨みます。

最初は、雪の塊を入れた後2~3分で溶けていましたが、連続的に大量の雪を入れると水温は-2℃になってしまい、雪はシャーベット状になってなかなか消えません。
期待は裏切られたかたちとなってしまいました。

安塚町役場でも、1缶4万2000円もする輸入品の新しい融雪剤を使った実験を行っていましたが、融雪の効果はほとんどありませんでした。

排雪処理の解決策の一つとして、球場内に敷設されている雨水専用の下水管に雪をそのまま神田川へ流そうという案も出ました。

しかし、これには東京都の下水道局から厳しい条件がつけられました。

「固形のままでは絶対に放流しないでほしい。溶かす方法として薬剤なんかを撒かれると、それが水質に影響してくる。溶かし方も注意してやってほしい…」

東京では「雪は産業廃棄物」。
雪消し作戦は振り出しに戻りました。