「車が海中に転落」 訓練最終日・実際の海難事故を想定

指導教官
「本日0800に大学校前面海域にて車両1台が海中に転落するのを釣人が目撃し―」

訓練最終日。課題は実際の海難事故を想定した本番さながらの訓練です。研修生チーム全体で連携して、海に転落した車に見立てた箱を探しだします。

釣り人役の教官
「直進してきて落ちたかなぁ、たぶん。あっちのほうで釣りをしてたからよく見てないんですけど」
研修生
「ポンツーンの右側ということでよろしいでしょうか?」
釣り人役の教官
「ポンツーンてこれ?」
研修生
「あ、はい、こちらから…」

目撃者の証言やブレーキ痕など、さまざまな情報から水中の車が沈んでいる位置を推測して、捜索していきます。

研修生
「要救助者あがった!」
「頭、頭、頭!頭を持って!」
「足すべるよ、すべるよ、気をつけて」

陸と水中でそれぞれが役割を果たし無事に課題は終わったかに見えましたが…。

指導教官
「(要救助者は)ひとりだけだった?」
研修生
「ひとりだけです、確認したのはひとりだけです。」
警察官役の指導教官
「車に何人乗ってるかわからないと釣り人は言ってましたけど―」

車に複数の人が乗っている可能性について考えていませんでした。

松浦晃貴さん
「自分のやった行動ひとつひとつに責任が問われるので、そこは訓練と本番は違うと思います。」

研修生同士のやりとり
「ナンバープレートとかあったら所有者がわかるのでー。」

潜水士は救助された人の身元を確認するための免許証や車検証なども回収。警察や消防が事故の検証をするために、水中での車の位置や向き、ギア位置の確認などを細かく記録しておく必要があります。

研修生同士のやりとり
「貴重品とかあった?」「あった!」

海上保安大学校訓練部 馬場遼平教官
「潜水士として活躍していけば、つらいときや苦しいとき、逃げ出したいと思うときもたくさんあると思うけど、最初に人の命を救いたいと思った初心を忘れずに、己を磨き続けていって欲しいと思います。」