高水準のインフレ率を背景に長らく続いてきたアメリカの金利高、ドル高の修正が始まり、金融市場は大きな潮目を迎えているようです。
30日のニューヨーク株式市場はダウ平均株価が520ドル高と年初来高値を更新し、株価上昇への期待感も高まっています。
インフレ減速で米市場金利が低下
起点となっているのは、アメリカの市場金利の低下です。
10年国債の利回りは、10月には5%を超える水準にまで達していましたが、11月29日には4.25%にまで低下しました。
インフレの減速によって、多くの市場関係者がFRBの利上げはもうないと見るようになったからです。
30日発表された10月のアメリカの消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で3.0%の上昇と、9月の3.4%から大幅に伸びが縮小しました。
前月比ではなんと上昇率ゼロとなりました。
PCE物価指数は、FRBが物価判断にあたり最も重視する統計で、FRBのシナリオと整合的な結果に、株式市場は一層、自信を深めた形です。
2か月半ぶりの円高、一時1ドル=146円台に
これより先、29日の外国為替市場で円相場は1ドル=146円台後半まで円高が進みました。
これは2か月半ぶりの円高水準で、11月中旬に1ドル=151円90銭と今年の最安値を更新していたことを考えると、数週間で大きく風景が変わりました。
ドルは欧州通貨に対しても下げていて、ドルの強さを示す指数は8月以来の低い水準です。