豪雪地・安塚町

新潟県上越市の東部に位置する安塚町。
当時の人口は5200人。30年間で人口は半減していました。
これといった大きな産業もなく、3mを超える豪雪と過疎がある町でした。

「とてもじゃないけど、60・70歳を過ぎれば、“雪掘り”は屋根に上がってできないからね。一日に50cm、70cmの雪が、3日も4日も続けて降られれば暗くなりますよ。子どもは、とてもとても年寄りをここに残しておけないって…」

まちなかには住む人のいなくなった廃屋が目立ちますが、これまでも役場が中心となって活性化のためのいろいろな試みを進めてきました。

昭和61(1986)年の春に安塚町は、日本で初めて“雪そのもの”を売り出しています。
『雪の宅配便』です。
雪だるまをかたどった発泡スチロールの容器の中に、安塚の雪と特産物を詰めたこの宅配便は大好評になりました。

邪魔者だった雪を商品化するという、まさに逆転の発想です。

さらには、過疎を逆手にとって、廃屋を都会の人に斡旋して安塚に定住してもらう『田舎売ります』という企画も行っています。

克雪から利雪へ―」。
町の人たちの意識にも変化が現れました。

そして、雪を利用したさらに大きな売り込み作戦が1896年秋に浮上します。