11月28日のMROテレビ「Atta」の特集は、定時制の石川県立金沢中央高校について松村 玲郎 記者の取材でお送りしました。

文部科学省が10月に発表した調査によりますと、昨年度の不登校の児童・生徒数は、コロナ禍の影響もあり全国で29万9,048人、石川県内でも2,942人(小学校1,024人、中学校1,918人)と、いずれもこれまでで最も多くなりました。

こうしたなか学び直しの場を求める生徒を多く受け入れているのが、定時制の石川県立金沢中央高校です。
定時制といえばその昔は「働きながら学ぶ」高校というイメージがありましたが、
現在はその役割に加えて、不登校の経験がある生徒も多く受け入れています。
病気や経済的な理由を除き年間30日以上の欠席で不登校と定義されるなか、
金沢中央高校では、今年度の新入生118人のうち約8割の95人が中学校時代に不登校、あるいはいずれかの学年で年間30日以上欠席した不登校の経験者です。
その新入生118人の前期(4月から9月)までの出席日数について調べたところ、
すべて出席(15人)と、欠席一けた台(58人)を合わせ73人でした。
前期だけを見れば約半数以上が不登校を克服できていると言えます。

どのような学校生活を送っているのか、金沢中央高校の今を生徒たちの声や周囲のサポート体制と合わせて取材しました。
MRO 松村 玲郎 記者:「中央高校が好きだという人手をあげて」
(7人全員手をあげる)
松村記者:「即答ですね」
生徒は:「めちゃくちゃ楽しい。自分の好きなようにできるので」
生徒は:「すごく生徒の意見とか個性とか尊重してくれる。学校で行事作りとかも私たちの意見を聞いてやってくれる学校だなと思う」
去年創立70周年を迎えた金沢市泉本町の県立金沢中央高校。

「昼間制午前部」「昼間制午後部」「夜間制」の3部制での総合学科で、現在はほとんどの生徒が昼間制に通っています。

教員は生徒の入学前から情報を得るなどサポート体制を整え、きめ細かい指導を行うため1クラスの人数は全日制の半数の20人程度としています。
服装や頭髪は自由。
化粧やアルバイトもOKです。
通常は卒業まで4年間通いますが、午前と午後の授業を受け卒業に必要な単位がそろえば3年間での卒業も可能です。

松村記者:「今こちらでは2年生を対象に進路について考えてもらう授業が行われています」
取材した日は「総合的な探求の時間」の中で、特別養護老人ホームの介護専門員を招いて現場の声を直接聞く授業が行われていました。

生徒は仕事の魅力や苦労を聞きながら進路について思い描いていたようです。

松村記者:「校内を見せてもらったが個性が出ていた。こういうスタンス?」
金沢中央高校 中野 好光 校長:「生徒は自由。本当に自由。それが定時制の特徴だが自由にさせながら自分でTPOに応じた行動をする。それが大事だと思っている」

一方生徒を見守りサポートしているのは県高等学校定時制通信制教育振興会です。

年に一度開かれる県の教育長との懇談会では、県内6つの定時制高校と1つの通信制高校の校長らとともに、課題などについて話し合います。
教育振興会の会長を務める、石川日産会長の小杉雄二さん。
当初は金沢中央高校中心だった企業の就職ガイダンスが、県への働きかけにより対象が県内のすべての定時制通信制高校に広がりました。

県定通教育振興会 小杉 雄二 会長:「3年前に県教育委員会がバックアップしようということで授業形式にしてもらって、今24社がブースを出すようになった。自分のキャリアを何年かに渡ってみてもらうことはすごく彼らにとってやはりプラスになるのではないかなと思っている」
教育振興会はキャリア教育での取り組みなどが評価され、昨年度文部科学大臣表彰を受けています。