ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島周辺が激しい嵐に見舞われ、これまでに4人が死亡、非常事態が宣言されました。嵐による戦闘への影響も指摘されています。

ロシアメディアによりますと、クリミア半島やロシア南部を嵐が直撃し、風速40メートルの暴風や高波が発生、少なくとも4人が死亡したほか、およそ200万人が停電に見舞われたということです。

クリミアの親ロシア派は27日、一帯の地域に非常事態宣言を出しました。一方、ウクライナ内務省顧問はSNSに波が打ち寄せる動画を投稿し、「ロシア軍が海岸に作った塹壕が波で流された」と指摘しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、嵐の影響によりロシア軍が黒海に展開させていた軍艦などを退避させ、前線での戦闘活動も低下していると分析しています。

こうした中、プーチン大統領は28日、保守派のイベントにオンラインで参加し、「われわれはいま、全世界の自由のために戦っている。ひとつの覇権国による独裁は弱まっている。われわれはより公平な世界秩序を構築するため最前線で戦っている」と述べ、アメリカを念頭に批判するとともにウクライナ侵攻を改めて正当化しました。

このイベントは侵攻への支持を表明してきたロシア正教のキリル総主教らが出席、来年3月の大統領選に向けた事実上の選挙戦の一環とみられています。