遠方の船主との打合せ負担を軽減し 納期の短縮にも

これまで打ち合わせの度に、島根から長崎まで最大10時間の移動時間がかかっていましたが、メタバース上で打ち合わせが可能になるとその負担がなくなります。

また、これまでより具体的に船の完成形が見えることで改修作業を減らせるため “納期の短縮”にも繋がります。

事代丸 牧野勝取締役 漁労長:
「そこの空間にいるときに、頭が当たるか当たらないのか、手を伸ばした時に、そこに届くか届かないのかっていうのが大事なってくるので。若い漁師も育ってますので、自分が退いたときに(メタバースが)強みになるんじゃないかなと」

事代丸 牧野進さん(息子):
「僕らの世代の時には、もっといい打ち合わせが出来るようなそういう物になって欲しいです」

巻き網漁船「事代丸」は、通常より工期が2カ月短縮され、来年8月末に引き渡される予定です。

ネイバルアーキテック 長崎内田恭浩社長:
「よくも悪くもしっかり見せて、船はこういう船になりますよって見せて、お互い満足いく形で、早い段階で船の仕様を固めていけば、手戻りだとか無駄な作業が減るんじゃないかと思ってます」

漁船のオペレーション研修にも活用

一方、船が完成した後もサポートは必要になります。

長崎総合科学大学の松岡教授が取り組んでいるのは、360度カメラを使って船内を撮影し、その写真を繋ぎ合わせて再現する3Dの船です。
画面をクリックすると機械の説明文や動画も見られるようになっています。

船員たちの高齢化が進む中、ベテランから若手への指導に活用されることが期待されています。

長崎総合科学大学 工学部工学科 船舶工学コース 松岡和彦教授:
「(海運業界は)非常に高齢化しています。また船員さんの数も少なくなってます。ベテランの船員さんがいて、若手を現場で教えながらということがなかなか難しくなっていて、陸上側からなら何とか支援ができるいう状況になりつつあるので、“同じもの”を見ながら話せば 話が通じるんじゃないかと」

地元企業や大学がデジタル技術を活かして長崎の造船業を支える取り組みが進められています。