身元不明の“無縁墓石”…撤去費用はなんと数百万円

三重県津市にある「浄誓寺」。住職が案内してくれたのは、境内の一角で野ざらしにされた墓石の山でした。
(浄誓寺・稲森栄政住職)
「こちらに積んであるのが放置されたお墓です。どうしようもないんですよ。(Q誰のもの?)わからないです。(Q.いつからある?)わからないです」
何年も連絡が取れず、放置された墓を撤去していますが、近年増え続けているといいます。
(浄誓寺・稲森栄政住職)
「めちゃくちゃですよ。数百万かかりますから、全部撤去するのに。1カット5000円ぐらいと言われましたわ、砕石するのに」
本来、お墓は信仰の象徴であり、使用料やお布施は寺の収入を支える存在です。しかし、現在では、身元不明の墓石の撤去や手続きに多額の費用がかかり、寺の大きな負担になっています。
(浄誓寺・稲森栄政住職)
「供養の形は人それぞれでいい。今後の方々は(墓で)無理する必要はないと思います」
注目される“供養のサブスク”!費用は通常の4分の1程度

放置された無縁墓に頭を悩ませている浄誓寺の住職は2年前から、あるサービスを始めました。
(浄誓寺・稲森栄政住職)
「われわれが考え出した“サブスク型”のお墓になります。従来の(墓の)感覚には沿わない形となっているんですけども定額制に。携帯電話と一緒ですね」
高さ20㎝ほどの小さなお墓の値段は38万円。骨壺と一体型で月額3300円と、通常の4分の1ほどの値段で、供養や掃除・管理まで寺が行ってくれます。小さな墓は寺の建物内の一畳半ほどの空間に並べられていました。2年前、病気で妻を亡くした男性は、サブスクのお墓の利用者。毎月ここへ手を合わせに訪れています。
(利用者)
「ちゃんと墓を建てると、(管理が)ずっと続きますやんか。僕はもうこのパターンでやっていこうかな、自分のことも」
「一般的な墓では面倒を見きれない」とこの形を選んだ男性は、三回忌が終わった今、サブスクも解約しようと考えています。
(浄誓寺・稲森栄政住職)
「基本料金の中に永代供養料も含まれているので、そのままここ(合同墓)に移させていただきます」
遺骨を寺が管理する共同墓へ移すのも、墓じまいです。
(利用者)
「ここに永代供養するなら、(元の墓石は)破棄するということですもんね。(家族)全員がいったん決着がつきますやんか」