■野菜が安いワケは“産地リレーがうまくいっていない”から

そもそも『産地リレー』というのは、“同じ野菜の産地を引き継いでいく”ことをいいます。

例えば、A産地の野菜の流通が終わる頃に、次のB産地の野菜が流通する。このリレーがうまくいくと、流通量が安定して価格も安定します。
ところが今は、猛暑の影響で、A産地の野菜の流通が終わる前に、次のB産地の野菜が前倒しで出荷されてしまう。まだA産地の野菜がさばききれていないのにB産地の野菜が流通してしまい、流通量が増える。流通量が増えると、価格が安くなっていく。このように、今は『産地リレー』にズレが起きているというわけなんです。

この先の不安として考えられるのが、次の産地の出荷が前倒しになった分、次の次の産地の出荷が前倒しされるのかどうかです。前倒しされなければ空白期間が生まれ、流通量が減るので今度は価格が上がっていく。

恵俊彰:
A産地が10個、B産地が10個だとすると、通常10個しか出回らないところ、出荷時期が重なると20個も出回るから値段が安くなると。

東京農業大学農学部 高畑健教授:
そうですね。まさにその通りですごいわかりやすいなと。

産地リレーを、キャベツを例に具体的に見ていきます。

【キャベツの“産地リレー”】
▼春  3~5月(春キャベツ) 神奈川県三浦市など
▼梅雨 6~7月(平野キャベツ)茨城県古河市など
▼夏  7~8月(高原キャベツ)群馬県嬬恋村など
▼秋  9~11月        群馬県嬬恋村など
▼冬  12~3月        愛知県豊橋市など

通常ですと、季節ごとに色々な種類と産地のキャベツがうまくリレーをして、一年間安定して供給ができます。
秋葉社長によると、現在は『“梅雨時期のキャベツ”と“夏時期のキャベツ”が同時に市場に出ている状態』ということで、群馬県嬬恋村などで生産されている夏の高原キャベツが早めに出荷されていて、供給過多になってきているということなんです。

それでは、夏のキャベツが前倒された分の空白時期はどうなるのでしょうか?夏と秋の両方のキャベツを生産している嬬恋村の農家の方に聞いてみました。

通常秋に出荷するキャベツは、種を蒔いてから3ヶ月程で収穫し出荷。まさに今の時期に種を蒔きたいそうです。しかし日照りが続いてしまうと、蒔くタイミングも難しい。秋出荷予定のキャベツも種まきが遅れてしまうと空白期間が長くなる可能性もある、ということなんです。

恵俊彰:
今は安くても、2か月後3か月後にはキャベツの値段もどうなるかわからない。

秋葉社長:
大変なんです。今の時期、本当は平野部のキャベツ(梅雨時期のキャベツ)などもいっぱい出回るんですよ。銚子とか、茨城辺りのキャベツもいっぱい出回るんですけど、そういうものも高温の影響でほとんど駄目になってきていて。これからの産地の嬬恋村、そういうものが今もう(市場に)出てるんですけども、実際は嬬恋村の方も今高温でかなり厳しい状況になっている。ですからキャベツなんかは今後この高温の影響を受けて、もしかしたら値段が上がるかな?というような状況になっていますね。