■人間関係を壊す習慣 当事者たちだけでは解決できない難しさ

NPO 女性・人権支援センター STEP 栗原 加代美理事長「一度DVの構造ができると、根本的な解決がないと安心した生活には戻れない」と話す

ーー男女に限らず、DVに陥らないためにできることはありますか?

STEP 栗原理事長:
私たちのセミナーでは「人間関係を壊す習慣」という避けるべき行動の話をいつもしてます。自分がDVをしていないか?なりかけていないか?を見極める時にこの項目を意識して欲しいです。

【人間関係を壊す習慣】
 ・批判する
 ・責める
 ・文句を言う
 ・ガミガミ言う
 ・おどす
 ・罰する
 ・褒美で釣る
 
心理学やマネジメントの用語で「外的動機付け」と呼ばれる要素です。「相手は変えられる、自分は正しい」といった考え方に基づいた習慣です。自分の思い通りに相手を変えようとするから、相手に対して自分の正義をぶつけてしまう。それが、相手を精神的に追いつめてしまう結果につながりかねないのです。
  
ーー 人間関係が完全に壊れてしまって、深刻なDVが起きるような状況の場合は、どうしたらいいでしょうか?

STEP 栗原理事長:
やはり関係を再び元に戻すことはとても大変で、精神的にも身体的にも経済的にも大きな負担を伴います。ただ「離婚すればすべて解決」とは言えなくて、第三者のサポートを受けられたかどうか、誰かに自分の傷を誰かに打ち明けられたかが、その後にも大きく影響します。

特に大事なのは「加害者への対応」です。深刻なDVの加害者は、既に相手に執着する歪んだ考え方を持っている場合もあります。ストーカーをしたり、探偵事務所を通して探し出したり、被害者側が本当に安心できる生活をするためには更生プログラムなどの支援を通じて、加害者の考え方を変えていくことも必要です。

例え深刻な状況だったとしても「家庭環境は変えられない」と諦めないで、私たちのような第三者の支援を受けることを選択肢として考えてもらいたいです。