■陸上 北渋RunRunフェスタ(12日、渋谷区水道道路)

日本女子中長距離のエース・田中希実(24)が12日、国内初となる公道を利用したマイルロードレース「北渋RunRunフェスタ」のスペシャルイベントに登場した。

田中は今年6月、次世代のアスリート支援を目的にした「NON STOP PROJECT」を始動。選出した選手たちと2泊3日の国内合宿を行う。この日は、その選考の一つとして行われた「NOZOMIRAI MILE」に出場した。

集団最後尾からスタートしたものの、5分00秒08のトップでフィニッシュ。21名の選手をごぼう抜きし、トップランナーとして圧巻の走りを見せた。レース後、田中は「一緒に走る子たちの真剣な気持ちに、より応えていく形で、私自身も緊張した気持ちで走らせてもらった。一人一人の息遣いを感じながら駆け抜けることができて、楽しいレースだった」と振り返り、次世代を担う若いランナー向けて「『陸上が大好き』という気持ちを捨ててほしくないし、それに伴う苦しみに真摯に向き合ってほしい」と力強く語った。

さらに、未就学児が42.195mを走る「ひよこレース」のフィニッシュ地点に駆けつけた田中。子供たちのハイタッチに笑顔で応じ、普段は関わることの少ない世代との交流も楽しんだ。

今年4月からプロに転向しニューバランスに所属。世界陸上ブダペスト5000mでは予選で日本新記録を樹立し、決勝で日本勢26年ぶりの8位入賞を果たした。その後のダイヤモンドリーグブリュッセルで14分29秒18と自身で日本記録を塗り替えるなど、実りの多い一年となった。「充実した1年だったのは確かで、その裏で苦しんだ時間も多かった。プロとしての厳しさ、人間として『生きる』ということを考えさせられた1年で、学びが多かった」とプロ1年目を振り返った。

印象に残ったレースには世界陸上の予選をあげ、「心と体が一致したレースを経験したことで、結果だけでなく過程もよりこだわれるようになった」と話した。

来シーズンについては、「内定はしていないが、パリ五輪は1500m・5000mの両方で入賞以上を目指すために、スピードと実践力を上げていきたい」と日本女子中長距離界を牽引する存在として、さらなる飛躍を誓った。