不評を買った経済対策「期待しない」72% 橋本政権の「減税」のときは?

今回永田町でこの調査が驚きを持って受け止められた理由は、11月2日に政府がまとめた「経済対策」の直後の調査での急落だったことだ。

岸田総理は、今回の経済対策に「デフレに後戻りしないための一時的な措置」として、所得税3万円と住民税1万円、あわせて4万円の定額減税などを盛り込んだが、これを「評価しない」人が6割以上にのぼり、「経済対策」全体を「期待しない」人は7割以上に及んだ。

とくに、所得税などの「減税政策」をめぐっては、「自民党支持層」でも半数以上が評価していない。

年齢別ではとくに40~60代の男性の7割以上、50代男性は8割以上が評価していない。

歴代政権を振り返ってみると、同じように減税政策を行ったのは橋本龍太郎総理だ。アジア通貨危機や山一証券の破綻が起きた1997年末に2兆円の特別減税を表明し、翌1998年2月から特別減税をスピード実施している。その直後の、3月のJNN世論調査ではこれまで下降傾向だった内閣支持率が一時的に上昇している(2月36.7%→3月39.1%)。ただその後、減税の恒久化を巡って橋本総理の発言がぶれ、98年の参院選で惨敗し、退陣に追い込まれた。

今回、岸田総理の「減税」対策が最初から不評を買っている理由として、取材をしていて感じるのは、再来年(以降)に防衛費や少子化対策で国民負担が増えることが分かっていて、来年は「減税」することの“ちぐはぐ感”をしっかり説明できていないように感じる。さらに住民税非課税世帯に対しては「現金給付」をするという、減税と給付の混在がよりわかりにくくしている。

岸田総理は将来の国民負担について「社会保障改革を進めることで、実質的な国民負担の増加にならないよう検討する。今回の所得税減税と矛盾するものではない」と繰り返し強調しているが、額面通り受け取られていないようだ。

ある自民党幹部は「選挙目当ての減税だと裏読みされている。今は何は何をやっても全部が裏目に出る」と語る。別の自民党中堅議員は「やっていることは悪くないが、地元に帰っても選挙目当てのバラマキだと見透かされている。総理の熱意が伝わっていない、ひとえに総理の説明の仕方の問題だ」と嘆いた。