なんだか騙されたような気分になりました。物価高に苦しむ国民生活支援という総合経済対策の建て前とは裏腹に、10日決定された23年度の補正予算案には、「聞いてなかった話」が、山ほど詰まっているからです。

減税は24年6月実施で補正予算に入らず

経済対策をめぐる議論の最大の焦点は、岸田総理が主導した1人4万円の所得税・住民税の減税でした。

しかし、この減税は、23年度の補正予算案には計上されていません。

年末の税制議論を経て24年度予算に計上されるからです。

実施は24年6月です。物価上昇に賃金が追い付かない時だからこそ、大きな意味を持つはずでしたが、実施は、春闘も終わった24年6月、しかも1回限りです。

遅い、しょぼい、仕組みが複雑と、各種世論調査でも、評判は芳しくありません。

物価高対策は、2兆7000億円余

一方、住民税非課税の低所得世帯に対する7万円の追加給付金支給や、電気、ガス、ガソリンへの補助金の4月までの延長などは、補正予算に盛り込まれました。

物価高対策は、総額2兆7363億円が計上されています。

電気・ガス代への補助は8月までの半分に減ったとはいえ、これらが経済対策の肝と言えるでしょう。

しかし、補正予算の総額は13兆1272億円。物価高対策は全体のわずか2割に過ぎません。残りは、一体、何に使うのでしょうか。