先月31日、日銀はこれまで事実上1%としてきた長期金利の上限を、一定程度超えることも容認するとして、金利操作を再び修正した。

「長期金利上限1%めど」容認、今後、円安&物価の見通しは?

日銀は今週、金融政策決定会合を開き、長期金利の上限を「1%」から「1%をめど」と改め、1%を一定程度上回る金利上昇を容認することを決め、再び金利操作の修正に踏み切った。

長期金利の上限については、今年7月の会合で0.5%から1%に引き上げ、
1%を超える場合は、国債を無制限に買い入れる、指値オペで金利を抑えるとしていました。

日銀 植田和男総裁
「長期金利の上限を厳格に抑えることは、強力な効果の反面、副作用も大きくなりうると判断し、大規模な国債買い入れと、機動的なオペを中心に金利操作を行うことにした」

長期金利は景気が上向くと上昇することから、経済の体温計とも言われたが、これを無理やり抑え込むのではなく、金融市場の機能回復に繋げる狙いがうかがえる。

7月以降、長期金利は上昇傾向にあり、今月1日には一時0.970%を付けるなど、事実上の上限である1%に迫っていた。およそ10年5か月ぶりの高い水準で、影響は広い範囲に及んでいる。

一部の銀行で定期預金や住宅ローンの固定金利が引き上げられ、これを受けて住友生命では、予定利率を引き上げる動きが出ている。

保険見直し本舗 コンサルティング事業本部 三重野雄大氏
「お客様の立場からすると、より魅力的な銀行預金では得られないような運用・利率 が期待できる。(保険の)入り直しを 検討される方が今後出てくる可能性がある。 保険業界にとっても一つプラスになるのではないかと思う」

一方で、外国為替市場では日銀の決定が大きな修正ではなかったという受け止めが広がり、円を売る動きが加速し、円相場は一時1ドル=151円70銭台まで急落した。

しかし、今回の円安は市場へのメッセージが伝わっていないことが要因だという花生氏。

バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏
「来年にかけて早いタイミングでマイナス金利解除というのは十分ありうると思うが、今回の一連の動きを見てると、そのメッセージは全く市場に伝わっていない。海外投資家には、例えば『1%のめど』とかは、非常にわかりにくいので、結局あまり英訳されてない。日本人としてはわかるんですけれど、海外としてはもうちょっとシンプルに考えるので、それも含めて、市場のコミュニケーションのやり方は、あまり上手くないと思う」

バルタリサーチ 為替ストラテジスト 花生浩介氏
「アメリカの金利は非常に微妙なところにあり、長期金利が下がり始めたら、例えば年内利上げ見送りなどあれば、徐々に円安が止まってくる可能性もあると思う」

物価の見通しについて、日銀は今回、前回7月から今年度、来年度ともに2.8%と上方修正した。

日銀 植田和男総裁
「物価全体の動きを見ると、どんどん上方修正してきている。ある程度、来年の賃金について「期待できる」と言えるかと思う」

随所に踏み込んだ発言も見られる中、今後、植田日銀はどのタイミングで「マイナス金利の解除」に踏み切るのだろうか。