“こころが男性どうし”のふうふに宿った命
ことし9月に行われた「さっぽろレインボープライド」。
性の多様性について多くの人に知ってもらい、差別の解消などにつなげようと、当事者や支援者らがパレードをしました。
ことしは去年より100人ほど多い、900人以上がパレードに参加しました。

会場に向かうのは、ちかさんです。虹色のカチューシャを頭につけて、ベビーカーを押しながらやって来ました。

2年前、きみちゃんのおなかには、ちかさんとの間に、新しい命が宿っていました。
「やっぱり自分が妊娠するというのを考えていなかった部分が強い」というきみちゃん。性同一性障害と診断を受け、一度は、性別適合手術を受けることを決めていました。
乳腺は切除。戸籍の性別を男性に変えるため、子宮と卵巣もとる予定でしたが、ちかさんとの出会いが考えを変えます。
「子宮と卵巣をとってしまったら(自分たちの子どもを持つことは)可能性としてゼロになる」
戸籍は「女性」のまま、自分たちの子どもを産む道を選びました。

子どもの名前は、「羅希(らき)」と決めました。
「希望にあふれた子に育ち、人を希望に導けるようになってほしい」という想いを込めました。
でも、2021年12月27日。ちかさんから連絡がありました。
「こんにちは。今日の健診で赤ちゃんの心臓が止まってました。急遽ですが、今日から入院します」