イスラエル軍のガザ侵攻が拡大する中、イスラム組織ハマスなどの反イスラエル勢力を支援してきたイランの動きが注目されます。イランの“参入”を警戒するアメリカは、アラビア海に空母打撃群を派遣するなどして牽制していますが、イラン側は今、容易には動けない国内事情を抱えているといいます。更には、自らの立ち位置を守るために決断を迫られるときが来るとの分析も。イランが抱えるジレンマについて、イランとイスラエルの専門家に聞きました。

中東科学戦略研究センター カハラマンプール氏
「地上戦にイランは干渉しないでしょう。」

こう語るのは、イランの中東科学戦略研究センター・上席研究員のカハラマンプール氏。なぜイランは、イスラエルとハマスの戦闘に干渉しないと言うのでしょうか…

中東科学戦略研究センター カハラマンプール氏
「イランの外務大臣は、「ハマスは独自にイスラエルに対して抵抗し、自衛する力が十分にある。だから、イランは軍事的に干渉する必要がない」と話しています。一方、アメリカはこの紛争が拡大しないことを求めています。ヒズボラやイスラム聖戦などの他のグループが参入した場合、この戦争は地域全体に拡大する可能性があります。この点について、アメリカとイランは、利害が一致しています。」

さらにカハラマンプール氏が、イランが戦闘に干渉しない理由として挙げたのは経済問題。アメリカが課した制裁が原因でインフレが進み、失業が増加していると言うのです。

中東科学戦略研究センター カハラマンプール氏
「国民の一部は主に経済状況を理由に、この戦争に反対しているかも知れません。パレスチナを支持する人もいれば、今回の紛争の経済的な影響を心配する人もいます。パレスチナを支持している人々がいる一方で、地域への戦争の拡大やイラン経済への影響を懸念する人々もいます。」