トキ“復活”に人生を捧げ佐渡へ
元佐渡トキ保護センター長だった近辻宏帰さんは、1967年24歳の時に、絶滅が危惧されるトキを守るために東京から、佐渡トキ保護センターの開設にあわせ、見知らぬ佐渡に県職員としてやってきました。

反対論もあった中、人工繁殖を唱えた近辻さんの主張通り、1981年に、野生に残った5羽のトキが全鳥捕獲されます。
この瞬間から、人工繁殖に向けた近辻さんの苦難の道のりが始まります。
しかし、人工繁殖への道は平坦なものではありませんでした。
カップリングには成功したものの、産卵時に卵が卵管に詰まって死んでしまうなど、人口繁殖は容易ではなく、一斉捕獲した5羽のトキは次々と死んでいきます。
トキが死んだり、繁殖に失敗したりするたびに、近辻さんには関係者から批判が集まりました。

(後編に続く…)