「なぁんだ、1回限りか」と、がっかりした方もいるのではないでしょうか。
岸田総理が「税収増を国民に還元する」と大見得を切った割には、政府・与党の減税議論は盛り上がらず、4万円という定額の所得税減税を、2024年に限って行うことで早々に落ち着きそうです。
それであれば、できるだけ早く、1人4万円の給付金を出した方が良さそうです。
所得税減税なら実施は2024年6月以降に
今回の所得税減税の目的について、岸田総理は、国会で「賃金が物価に追いつかない中で、直接、家計を支援することが重要」との考えを示しました。
実質賃金が17か月連続でマイナスになる中で、消費は腰折れする懸念があります。
岸田政権が家計の直接的な支援に政策の舵を切ったことは、評価に値すると思います。
大事なことは、できるだけ早く実施することです。2024年の春闘による賃上げが実現するまでの間に行われることが重要です。
所得税減税の実施は、通常国会での法案審議を経て、2024年6月になります。給付金なら年度内に支給が可能なのではないでしょうか。
減税だと非課税・少額課税世帯への対応が複雑に
給付金の方が優れている、もう1つの理由は、減税では、非課税や少額課税世帯への対応が複雑になってしまうからです。
1人当たり4万円以上の課税をされている人には、4万円の減税ができますが、そもそも非課税の世帯や、4万円未満の税金しか納めていない場合は、別途、手立てが必要になるからです。
政府・与党内では、住民税非課税世帯には7万円の給付金を追加支給すると同時に、納税額が4万円に届かない場合にも、給付金を支給する方向で調整が進められていますが、仕組みは複雑になるだけでなく、完全に公平なものにすることは困難です。
実施に当たって、自治体の手間もかかるのであれば、一律1人4万円の給付金支給(所得制限を行うかどうかは別にして)を行った方が、作業もシンプルになるでしょう。
「定額1回」が前提なら、スピード、作業、公平感いずれをとっても給付金の方が優れています。