――使い方が雑になっている?
戸田奈津子氏:
安直というか。例えば最近すごく気になってるのは、サステナブルってみんな使ってるでしょ。サステナブルっていう英語を知っていた人はいないと思いますよ。とても特殊な英語だもん。日本語で「長続きする」とか「永続する」とかいっぱいあるじゃない。舌噛みそうだね、カタカナ。そういう無意味なことはわからない。腹が立ちます。字幕にちょっと難しい漢字を使うと映画会社は「若い子は読めないからひらがなにしろ」と言うんです。昔の電報がカタカナで読みにくかったのと同じで、ひらがなにすると読みにくいわけですよ。漢字って本当に字幕的で、見ただけで意味がわかるでしょ。なのに、漢字を使っちゃいけないとか読めないとか、すぐ文句言われるんですよ。闘いますけど。
――若い世代だけではなく、社会全体がそういう空気になっていると感じますか。
戸田奈津子氏:
私なんか本当に古い人間で、ちゃんと敬語の使い方を教えられたから一応わかりますよね。やっぱり教育ですよ。母国語なんだから大切にしましょうという気持ち、正しい使い方を教えるっていうのは学校の責任だと思いますけどね。
――本をちゃんと読んで、本に描かれた大人の世界や社会人の世界を吸収していかないと駄目なんでしょうね。
戸田奈津子氏:
それは親がちゃんと応えてあげなきゃ駄目でしょ。子どもってある年齢で親に「お話して」ってなる時期があるでしょう?子どもは好奇心があるんだから、それにちゃんと親が応えてあげて、いいお話を聞かせるとか、読書の楽しさを教えるとか、そういうことを応えてあげる親がほしいですよね。
――改めて戸田さんが考えるSDGsとは?
戸田奈津子氏:
達成しなきゃいけないことですが、とてもハードルは高いですよね。全人類がそれを頭に置いて、それなりに努力するほかないわね。奇跡は起こらないから、努力でしか実らないですよね。
――今日のお話を貫いているのは「好き」だということをちゃんと自覚するということだと思います。好きという素直な心持ちになったら、それをちゃんと大事にする。
戸田奈津子氏:
それは大事ですね。好きなものは消えちゃ困るから大切にしましょうって、そこにつながるわけですから。あるからといって無駄に使ったり、軽く見ちゃいけないですよね。ありがたく感謝で受け止めなきゃね。
(BS-TBS「Style2030賢者が映す未来」2023年10月15日放送より)














