映画字幕翻訳者として40年以上、多くのスターから厚い信頼を寄せられる戸田奈津子氏の2030年に向けた新たな視点、生き方のヒントを聞く。
【前編・後編の後編】
――「わたしのサステナ・ライフ」ということで、趣味や日課にまつわるアイテムを紹介してください。
戸田奈津子氏:
読書です。今たまたま読んでいる本を持ってきました。映画の俳優さんや監督は自伝を書く人が多くて。これはイギリスのケネス・ブラナーっていうシェイクスピアの今の一番の俳優さん、すごい才能がある彼が書いた自伝です。イギリスの俳優は本当に上手なの。映画スターは例えばトム・クルーズみたいにアメリカにいるんだけど、本当にお芝居の上手い人はイギリス人が多いんですよ。イギリスがいかに俳優を育てる過程を大切にしている国かということも勉強できて、すごく面白いです。
――なかなか本を読む時間がありません。
戸田奈津子氏:
最近の人は携帯ばっかりで、あまり今、本を読んでないけど、やっぱり悲しいですね。私は映画からいろんなことを学びましたけど、生きていく上で大切なことを学んだのは本ですよ。映画よりも本です。
日本語を大切に。「子どもの好奇心に応えられる親に」

――続いてお話していただくテーマは何番でしょう。
戸田奈津子氏:
4番の「質の高い教育をみんなに」を選びました。
――この実現に向けた提言をお願いします。

戸田奈津子氏:
私はいつも言葉を扱っていますから、言葉には興味がありまして、特に日本語がないがしろにされているのは非常に悲しいと思うので、やはり日本語を大切にしてほしいということですね。言語って国民のアイデンティティでしょ。そんなに粗末に扱っちゃいけませんよ。この頃、日本語を使わずに不必要にカタカナ文字にしたり。そういうのはどうかなと思いますね。