どこまでが躾?どうなったら虐待?
どこまでが躾や教育として許されて、どうなったら虐待なのか?弁護士の前田琢治さんや産婦人科医の金子法子さんと考えます。
埼玉県での「虐待禁止条例案」が話題になりました。議論の的となったのが、小学3年生以下の子供を家に留守番させるのが虐待にあたるのか、という点です。

小学3年生以下の子供を自宅に残しての外出(ゴミ出しを含む)は禁止。さらに、子どもたちだけで公園で遊ばせる事、さらには小学1~3年生の子どもだけでの登下校も禁止、ということです。各所で批判の声があがり、結果的にこの条例案というのは撤回となっています。
前田弁護士:
近年、子供が車内に置き去りにされて悲惨な事故が起きてるっていうこともありますから、そういったことを念頭に置いて、もしかすると、今回の案が出たのかもしれないですけれども、でも今回の条例案は少なくとも「放置」の定義がすごく曖昧でしたし、こういう広範な規制におよびかねないものについては、そもそも法律的な視点からも憲法違反の疑いはあります。
アメリカでの留守番の規則は
永岡克也アナ:
アメリカでの例なんですが、イリノイ州では14歳未満の子を放置した場合、虐待とみなす法律があります。さらには、ジョージア州ではガイドラインの決まりなんですが、すごく細かく決まっています。8歳以下はそもそも放置しちゃ駄目。9歳~10歳は日中夕方なら最大1時間半ぐらいならいいよ、ということが定められています。

産婦人科医・金子法子さん:
ドイツなども条例とか厳しいですけど、女は家で、男が仕事に行って、時短の仕事も認めてもらえず、みたいな。だから男の人は遅くまで働いて、女の人は本当は家にいなさいっていう昔の価値観のまんま、そうじゃないと駄目だみたいなところからきてるので、もう全部、価値観から何から変えて社会が見守るような体制を作る方が…第3の居場所みたいな感じでね。
前田弁護士:
法を扱う弁護士である一方、僕も2児の父ではあるので、個人的には家庭の自由っていうのは、できる限り尊重されるべきじゃないかなと思いますね。
家庭の事情ってのは、やっぱりそれぞれですから。そこは自治体が法とか規制とかで何とかする、子供の安全を守るとかっていうわけではなくて、むしろどういうふうに支援していくか、どうやって寄り添って協力していくかっていう体制を考える方がいいのかなとは思います。
親が「躾」といって暴力を振るったら…
永岡克也アナ:
その一方でやはり、躾としてやりすぎな部分があれば、たとえ親でも法に触れるということですね。山口県内でも自宅で娘の頬を殴るなどの暴行を加えたとして、父親が逮捕されています。この事件では父親はその後、不起訴となっています。

前田弁護士:
この事件がどうだったのかという詳細はわからないですけれども、仮に親が躾と言って暴力を振るっても、それは躾とは言わず、もう暴行罪になりますし、怪我をさせれば傷害罪として罪が成立するということになります。