オリーブの栽培が盛んな大分県国東市ではオリーブオイルの製造過程で発生する搾りかすの処理が課題となっています。この問題の解決に向け動き始めたプロジェクトに密着しました。
搾るとオイルは1割、9割が“搾りかす”
今年で16年目を迎えた国東市のオリーブ栽培。国内一の産地、香川県の小豆島と同じ瀬戸内海の気候をいかそうと始まり、現在31の生産者が取り組んでいます。
JAおおいたくにさきオリーブ部会・河野博己部会長:
「夏に伸びた枝は夏枝と言う。来年花芽がいっぱいついて、1パーセントから2パーセントが実になる」
国東市では昨年度オリーブの出荷量が14.2トンと全国2位まで成長。また国際コンテストに出品したオリーブオイルは3年連続で金賞に輝くなど高い評価を受けていますが、ある悩みを抱えているといいます。

JAおおいたくにさきオリーブ部会・河野博己部会長:
「過去通算すると搾油率が8パーセント前後。部会としても課題であるしもったいない」
『もったいない』と呼ばれるものとは――。実はオリーブの実を搾るとオイルは1割しか取れず、9割が搾りかす、つまり廃棄物に。国東オリーブではその量が昨年度4トンにものぼることから活用法が課題となっています。
imaアグリサービス・今宮保代表:
「これが搾りかすですね。いいにおいなんです。なんかこれはもったいないなあと」

ここに注目したのが、大分市で土壌改良材を販売する今宮保さん。今宮さんは大手化学メーカー研究職の経験をいかし、オリーブの搾りかすを堆肥として再び農園に還すことができないか、県産業創造機構の産学官連携事業のプロジェクトとして研究を重ねています。
実験ではオリーブの搾りかすにミミズのエキスを原料とした土壌改良材などを加えました。発酵を促す微生物の力で植物が育つ堆肥に生まれ変わる効果が期待され、搾りかすの有効活用につなげたい考えです。
imaアグリサービス・今宮保代表:
「『オリーブの堆肥で育った国東のオリーブ』をキャッチフレーズに国東のオリーブオイルがますます差別化されて売り上げにつながればいい」