「ピーポーピーポー」でお馴染みの救急車のサイレンですが…各地の消防が新しいサイレン音を導入しているようなんです。なぜ変えたのでしょうか?そこには、意外な背景がありました。

救急車に新サイレン音導入 不快感を軽減する音

まず、なぜ変更しなければいけないのかというと、サイレンの音をめぐって「救急車のサイレンがうるさい」「住宅街では音を消してほしい」など各地の消防局に苦情・要望が相次ぐということが起きているようです。

16日、東京消防庁は「出動する救急車は、緊急車両で必ずサイレンを鳴らす必要があります」とXに投稿しました。

音の高さ、大きさに理解を求めるということで、こういった投稿もしなければいけなくなってきているわけです。

では、サイレンの音はどう変わったのでしょうか?

“コンフォートサイレン”と呼ばれるもので、コンフォート=快適、心穏やかなどの意味になってくると思いますが、従来音に“和音”を重ねて不快感を軽減しています。既に、札幌市や下関市(山口)など全国の41の地域で採用されているということです。

緊急自動車のサイレン音というのは道路運送車両法で決まっていて、前方20m先で90dB以上120dB以下、90dBは車のクラクションぐらいで結構大きな音です。音量は下げられないけれども、うるさいという苦情がある。

そこで新しいサイレン音を開発したトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの担当者は「緊急時には気づいてもらいつつ、不快感を軽減するという矛盾に苦労し、開発までは数年かかりました…」と話しています。仕事が終わっても頭の中ではサイレンがずっと鳴り続けた、なんてことも言ってました。それぐらい、いろいろ試行錯誤して完成したのが和音を入れた音ということですね。

井上貴博キャスター:
難しいですけど、命を守るためにはある程度、(音を)発するサイレン音にしなければいけないけれども、それがうるさいと言われてしまう…

萩谷麻衣子弁護士:
元気な時はうるさく聞こえるかもしれないけど、自分が早く病院に連れて行って欲しいときには、やっぱりサイレンを鳴らして一刻も早く連れていってもらわないといけないと思うんですよね。

法律上、音量を下げられないですし、音を消してしまうと、緊急自動車の要件を満たさないので、赤信号とかも止まらなきゃいけなくなっちゃうんですよね。やっぱりサイレンは一定の大きさの音をけたたましく鳴らさないと、緊急車両にならない。そこは理解していただかないとしょうがないかなと。