飛行機が飛べなくなるかも? コロナで多くのスタッフが退職

きっかけは新型コロナの感染拡大。国際線の運航停止や利用客の大幅減少で仕事が減り、将来への不安から退職者が急増したのです。
(ANA中部空港 グランドサービス部 末永悠光さん)
「(当時は)どうなるんだろうっていう気持ちがして。わかるんですよね、仕事が減ってくっていうのが。来る飛行機も少なくなってしまって、海外からの飛行機もなくなって、国内線も減って。これからどうなっていくのだろうなという不安は、すごくありました」
ANA中部空港 総務部人事課の加藤百合香さんによると、2020年4月と比較して、1割程度社員が減少。主に飛行機の周りで仕事を行うグランドハンドリングを担う人材が不足しています。
末永さんが所属するセントレア専属の地上業務会社ANA中部空港でもコロナ禍で247人が辞め、そのうちグラハンスタッフの退職は61人に上りました。
(ANA中部空港 総務部人事課 加藤百合香さん)
「現時点でのオペレーションでは問題ないが、今後、国際線が回復することを見越すと、スタッフ数が足りなくなることが予想される」
まだコロナ禍前の便数に回復していないため余裕はありますが、この先を考えると人手不足は極めて深刻な問題となっています。
「グラハン女子」に憧れる女性が増加中!インターンシップなどでPRも

こうした中、業界全体でも動きが。2023年8月、ANAやJALなど地上業務などを担う50社が合同で「空港グランドハンドリング協会」を設立しました。
人材確保のため、賃上げや労働環境の改善を進めるだけでなく、航空会社ごとに異なる資格や車両の仕様などの業界ルールの整備、働き手を増やすために航空専門学校との連携などにも取り組みます。
ANA中部空港も、新たなリクルート活動に乗り出しました。それは「グラハンのインターンシップ」です。そもそもこの仕事の認知度が低く、希望者が少ないという問題が以前からありました。
積極的にPRして実際に仕事を体験してもらい、グラハン業務に関心を持つ人を増やすことが狙いです。
(インターンシップに参加した大学3年生)
「きついという感情よりも、お客さまのために裏で頑張るという仕事のかっこよさに魅力を感じました」
実際に参加した学生からは、興味がわいたという好意的な声が出ました。休日も増やし、労働環境の改善も打ち出しています。コロナ禍で、グラハンの仕事にいい変化も出てきました。