どん底の時から支えられたパートナー
その後、原田口さんは知り合いのパン屋や就労支援センターで働きながら店の再オープンに向けて準備を進めた。締め付けや摩擦が伴う義足の生活。装着部分が出血する日もあるほど、大きな負担がかかるという。
「正直、義足をつけての長時間はきついです。痛いし、擦れるし、血が出て炎症を起こし痛みがさらに強くなる。この痛みとも付き合っていかなければならないという現実を叩きつけられました」
「靴下と一緒で家に帰って義足を外すとめちゃくちゃ楽です。パッと動けなくなるので不便にはなりますけど」

原田口さんには当時、交際していた女性がいた。萌子さん27歳。付き合い始めたのは2017年。その翌年、原田口さんの検査結果を一緒にきくため病院へ行き、がん告知を受ける。
萌子さん:
「本当はすごく泣きたかったんです…けれど自分が泣いたら、彼がもっと落ち込んでしまうだろうなと思って、『冷静にいろー』と言いきかせていました。あの時は自分でもしっかりしていたなと思います」

病気が判明し頭が真っ白になる原田口さん。その横で冷静さを保っていた萌子さん。彼女が病気のことや今後の治療などについて医師とやり取りしたという。そして去年3月、2人は結婚した。
萌子さん:
「彼とずっと一緒にいたし、わたしデブッチョが好きなんです。胃袋もつかまれました(笑)」