国内生産は“1%未満” カリブ海が原産のフルーツを「有機栽培」

農業を始めて40年の松本英利(まつもと ひでとし)さん。結婚を期に水俣市からこの地に来ました。

現在は、みかんやスモモなどを中心に9種類の作物を育てています。

そんな松本さんが13年前、新たに栽培を始めたのが「グレープフルーツ」でした。

松本果樹園 松本英利さん「少量多品目でいろいろ作ってみたいという気持ちで。苗木が手に入ったのでやってみようということで」

グレープフルーツは全国で8万4000トンもの流通量がありますが、国内の生産は1%にも満たない100トンほど。

グレープフルーツの原産は温暖なカリブ海の島々。ハウスを使わず育てるのには苦労したと言います。

さらに、ほかの作物と同様、化学肥料や農薬を使わない有機栽培にこだわりました。

松本さん「数年に1度は寒波が来て、実がなっているものが凍ってダメになったり、雪が積もったら枝が枯れたりする」

松本さんが有機栽培にこだわったのは父からの教えからでした。

松本さん「両親と祖母が水俣病患者で、親父が水俣で甘夏の無農薬をはじめて、それで私も育ててきたので」

様々な苦労を重ねようやく軌道に乗ってきた栽培。

料理に皮ごと安心して使えると、松本さんのグレープフルーツを買い求める人も増えているといいます。

松本さん「同じ品種ならば国産の方がいいと。味が良かったらリピーターの人が増えて、出荷して10年以上になるけどだんだん注文も増えてきている」

国内で生産量が少ない作物を栽培する動きについて、東海大学農学部の阿部教授は…

東海大学農学部 阿部淳 教授「消費者の側からみると選択肢が増える、商品は少し高くなることもあるが選択肢が増えることはいいことだと思う」

フェアトレードや環境問題などの観点からも可能性が広がる1%以下の国産作物。今後に注目です。