富山県射水市にある六渡寺海岸。富山県内でもっとも多く漂着ゴミが集まる海岸との“汚名”を着せられています。ある調査によればその漂着ゴミの量は、富山県の平均の54倍…。一体どこから流れてくるのか、“海のない町”の調査がその答えを示しています。

富山県射水市の六渡寺(ろくどうじ)海岸は、東側を庄川に、西側を小矢部川とどちらも一級河川にはさまれた海岸です。流れ着くゴミの量は県内の海岸でもっとも多くなっていて、15日も、地元企業や地元住民らが協力してプラスチックごみや流木をひろい集めました。こうしたボランティアによるゴミ拾いなどで年間約100トン以上のゴミが回収されていますが、漂着ゴミは後を絶ちません。
漂着するのは流木やペットボトル、プラスチック容器などさまざま。毎年ゴミ拾いを企画している富山県生活共同組合連合会が、海岸の砂をふるいにかけてマイクロプラスチックを調べたところ、農業用肥料のカプセルの破片ほか、人工芝やペットボトルの破片も数多く見つかりました。マイクロプラスチックは直径5ミリ以下の小さなプラスチックごみで魚がえさと一緒に食べることで生態系に悪影響を与えるといわれています。
漂着ゴミはどこから?
漂着ゴミはどこから流れてくるのか…。国の調査で、富山県内の海岸に漂着しているゴミの約8割が外国や県外ではなく富山県内の河川から流れてきたものであることがわかっています。富山県の山間部に位置する南砺市で実施された独自調査が、その具体例を示しています。
2021年3月、南砺市立福野小学校で行われた4年生の総合学習の授業で、南砺市が行った、ある独自調査の結果が紹介されました。それはペットボトルにGPS発信機を入れて、南砺市の山間部を流れる小矢部川に捨てられたゴミがどのような経路で海へ流れ出て、漂流するのか追跡するというもの。
調査の結果、ペットボトルは浅瀬で引っかかるなどしながら海に出るまで少なくとも4か月近い、116日間も小矢部川に滞留していることが明らかに。
そして、河口から海へ流れ出ると、能登半島の南側・石川県境付近まで流れると
折り返して、六渡寺海岸に戻ってきていたのです。
南砺市が実施したこの調査は、“海のない町”でも“ふるさとの川”を守ることが、海の環境・海の生き物たちを守ることにつながっていることを教えてくれています。