佐久市で2015年、中学生が車にはねられて死亡した事故。
救護義務違反の罪に問われた男性に東京高裁が9月、逆転無罪を言い渡したことに対し、検察が11日に最高裁判所に上告しました。
地裁と高裁の判断が分かれた裁判を検証します。

高裁判決後の父・善光さん:
「ちょっと考えられません。なぜ我々の思いが司法に届かなかったのか」

母・真理さん:
「樹生にかける言葉は見つからない。刑が確定するようなことがあればこんな国に産んでごめんねとしか言えないです」
2015年3月、中学3年だった和田樹生(わだみきお)さんが佐久市の自宅前で車にはねられ死亡した事故。
運転していた男性は同じ事故をめぐり、過失運転致死、スピード違反など7年間で3度、起訴されました。
2022年に行われた3度目の裁判で、男性は、救護よりも前に、飲酒を隠すためにコンビニエンスストアで口臭防止剤を買っていたなどとして、道路交通法の救護義務違反=「ひき逃げ」の罪に問われます。

長野地裁は「懲役6か月」の実刑判決を言い渡しますが、男性は無罪を主張し、東京高裁に控訴しました。
9月28日に東京高裁で開かれた控訴審の判決公判。

田村政喜(たむらまさき)裁判長は、男性が事故のあとコンビニへ行ったものの、その後、被害者の人工呼吸などをしていて、「救護する意思は持っていた」と指摘。
救護義務違反にあたるとした一審の長野地裁の判決は法令適用の誤りなどとし、逆転の無罪を言い渡しました。