イスラム組織ハマスが、イスラエルへ向けて3000発以上のロケット弾を発射。
さらに、武装した多数の戦闘員がイスラエルへ侵入するなど、これまでにない大規模な軍事作戦を展開しました。
ハマスの目的は「存在の誇示」? イスラエル“前例ない報復”か

日比キャスター:
大規模な戦闘のきっかけとなったのは現地時間7日の朝です。イスラム組織ハマスは、ガザ地区からイスラエルに向けてロケット弾3000発を発射。多数の戦闘員がイスラエルへ侵入するなど、これまでにない大規模な軍事作戦を展開しました。
8日、イスラエル政府は「戦争状態」に入ったことを宣言。ガザにあるハマスの拠点800ヶ所に報復攻撃を行います。
AP通信によりますと、この攻撃による死者は704人ということです。一方で、イスラエル軍の発表によりますと、ハマスのロケット弾はおよそ4500発発射され、死者は900人以上。さらにハマスが30人以上の人質を取っている、と発表しています。
ハマスは、「ガザ地区に警告のない空爆を続ければ、人質を1人ずつ殺害する」と警告しています。
今回の戦闘に踏み切った理由としては「存在を誇示したい」ものとみられています。

秌場聖治 TBS報道局外信部長:
まず基本的なことを言いますと、ハマスはイスラエル国家自体認めていません。「イスラエルは消滅すべきだ」と思ってる人たちです。先ほど「多数の戦闘員がイスラエルへ侵入」と説明しましたが、ハマスにとってみれば、“侵入してきたのはイスラエルの方”というのが基本姿勢です。
今回戦闘に踏み切った理由の「存在を誇示したい」というのは外交的な部分があり、“外向き”と“内向き”とあります。
アラブ諸国がイスラエルと接近する、サウジアラビアと接近してるという中でパレスチナにとってみれば、「アラブの大義とはどこいったんだ」と「自分たちを忘れるな」というような考えになる。それは仕方が無いことだと思います。元々そんなに期待はしてなかったにしてもあんまりじゃないか、という部分はやはりあります。なので、「自分たちはここにいて、影響を与えることができるんだ」ということを見せつけるためというのが一つ考えられます。
内向きに関しても、このガザの中に住んでる人たちみんながハマスを支持してるわけじゃない。ハマスは行政もやっていますが、「自分たちの暮らしは全然良くならない。どうにかしてほしい」という不安が溜まってた。その中でハマスは「イスラエルに打撃を与えられるのは俺たちなんだ」という力を誇示する必要性もあったとみられます。