今月28日に富山市でまたクマによる人身被害が発生しました。クマはまだ見つかっておらず、今後、本格的なクマのシーズンに入ることから厳重な注意が必要です。
富山市下タ林を流れる神通川。アユ釣りを楽しむ人で賑わっていました。しかし、きのうこの場所では…

防災アナウンス:「クマによる人身被害が発生しました」
28日午前11時すぎ、71歳の男性がアユ釣り中に突然、クマに襲われたのです。警察に通報した男性が緊迫した様子を語りました。
通報した男性:「(ケガした男性は)半袖だったので丸見え、2か所にクマの歯の痕がついていた」


通報した男性によりますと、クマに襲われた男性は愛知県から来ていて、川に入って兄と2人で釣りをしていたところ、成獣とみられるクマ1頭を川岸に発見。

追い払おうと大声を出し石を投げようとしましたが、当時、川の水位は低く、対岸にいたクマはあっという間に男性の前に移動したといいます。

通報した男性:「(クマと)対面して、クマを押し倒したのかクマが足を滑らしたのか分からないけど、そのまま2人とも水の中に倒れた。それでクマが慌てて離した」
男性はクマに左ひじを噛まれるなどして全治1か月の重傷ですが、命に別状はありませんでした。

通報した男性:「一歩間違ったら、生きているか生きていないか話じゃなかったかな」
クマは河川敷を上流方向へと逃走、その後、行方はわかっていません。なぜ、この場所にクマが出現したのか。現場を確認してみると…


記者:「男性が襲われたそばの茂みにクマは潜んでいたとみられています。また、そのすぐ近くには大量の柿が実っています」
そばにはクマの好物の柿が丸々と実っていて、絶好のエサ場となっていたのです。現場を訪れた専門家は。
県自然博物館「ねいの里」・赤座久明さん:「クマはこのような人の気配がある所に人に会いたくて下りてくるわけじゃなくて、冬ごもりに備えてたくさん食べなくてはいけないから食べ物を求めて来る。成りっぱなしの柿とか、いま栗がちょうど落ちている時期。そういう栗の実を狙って主に夜に食べる、昼間は物陰に潜んでいる」

さらに、ことしはクマの主食となるブナやコナラなどの実が不作でエサを求めて平野部へのクマの出没が増加する恐れがあります。

富山県によりますと、県内でのクマによる人身被害はことしに入ってからは2例目で県はことし初の「ツキノワグマ出没警報」を出して、警戒を呼び掛けています。
