夢を叶えるために必要な我慢なのか

井上貴博キャスター:
意見が分かれるところで、所属タレントの皆さんを“商品”だと考えると、「会社が犯罪行為を行っても商品は別に問題がない、守るべきだ」という意見もあれば、「いや、会社が犯罪行為を行っているのだからこそ、商品も一時的に流通を止めるのは当然だ」という意見もある。

取引先企業がどう考えるのか、スポンサーがどう考えるのかというのは分かれそうです。

ホラン千秋キャスター:
私も芸能事務所に所属する者として思うのは、ジャニーズ事務所の性加害問題に端を発して、いろんな人が今回のことを考えることになったと思います。

例えば、芸能界や教育やスポーツなど、圧倒的に力を持っている大人と、夢を叶えたいと思っている子ども。こういった構図になっている場所は、“搾取”が起こりやすい構造になっていると思います。

もちろん、多くの方はそんなことなくしっかりと運営していると思います。

子どもたちが夢を叶えに業界に入ってきた時、それが嫌なことであっても、「もしこれが夢のために必要なことであれば、飲み込んだ方がいい、飲み込むしかない」と。

そういう時に、大人たちにもう一度考えてもらいたいのは、強いている我慢が、夢を叶えるために必要な我慢なのか、権力を乱用している搾取なのか、ということをしっかりと考えてほしいと思います。

今回のように性的搾取の場合もあれば、金銭的搾取、やりがい搾取など、様々な搾取があると思うんですけれども、どんな傷を自分に負わせるかも考えずに「わかりました」と言わざるを得ない立場の子供たちもいると思うんです。

なので、そういった業界やシステムの中にいる大人たちは、子供たちに強いることが必要なことなんだろうか、正しい投げかけなんだろうかと、もう一度自問自答してほしいです。

子供たちがまっすぐ夢を追いかけられるような業界や世界であってほしいと、私も切に願います。

井上キャスター:
現在は民間企業の転職が当たり前の時代です。

この問題はジャニーズ事務所だけの問題ではなく、「自分に商品価値があるのだったら、他の事務所に行けばいいじゃない。なぜそれをジャニーズ事務所のタレントの皆さんはしないの」という話に行きがちなんですけれど、それがそう簡単でもない。世間の常識はもしかすると、業界の非常識かもしれないというところがあります。

業界全体をもう少しクリーンにするのであれば、根本的に変えていかなければいけない部分があるのかなと思います。