海水温の上昇などで白化し、死んでしまった養殖サンゴから、マイボトルを制作する取り組みが行われています。白化サンゴを海の保全に生かす、新たな取り組みを取材しました。

近年、地球温暖化による海水温度の上昇などで、白化や死滅が、大きな問題となっている沖縄のサンゴ。保全のため県内各地で養殖が行われていますが、病気や気候の影響をうけ発育途中で白化し、死んでしまうことが少なくありません。
伊良部島環境協会 林歳彦さん
「サンゴを使って何か作ろうよという案が出たらしんですよ。それで思い出してくれたのが僕だったんですよ」
伊良部島でサンゴの養殖に取り組んでいる、林歳彦さん。
台風が少なく海水温度が下がらなかった去年は、およそ8割のサンゴが白化してしまったと言います。

そこで、これを有効活用ようと開発されたのが海のマイボトルです。
これまでは活用方法のなかった白化してしまった養殖サンゴを、20パーセント使い、ボトルの原料としてアップサイクル。
沖縄のサンゴから作られたおしゃれなマイボトルとして、生まれ変わりました。
伊良部島環境協会 林歳彦さん
「おそらく僕が調べた中でも、多分ないんじゃないかなというのもあって、白化してなくなってしまったけども、けどそれが使われることによって、メッセージもたくさん残っているボトルなので、日本だけじゃなくて世界にも広がってほしいですね」

白化サンゴを活用した海のマイボトルは現在、宮古島のホテルなどで販売されており、その売り上げの一部が伊良部島のサンゴの保全活動へと還元されています。
浦添市でサンゴの養殖を行っている沖電開発でも、白化して死んでしまったサンゴを活用できないか、検討を始めています
沖電開発 佐藤凪さん
「これが1年、2年前くらいのものですね」
「大体サンゴは1年1cmと言われているので」
年単位の長い時間をかけて取り組むサンゴの養殖。
「これ下も全部っていうことですよね、ここまで大きくなったのに白化しちゃうらしいです悲しすぎますね」

これまでは使い道がなく捨てざるを得なかった白化サンゴ。
それを商品化することで、新たな価値を生み、サンゴの保全へとつながる新たな循環はSDGsの目標にも繋がっています。
海のマイボトルを開発 アサヒユウアス小山さん
「みんなで綺麗な海を守っていこうよっていう目的を達成していくというか。こういう思いをもった仲間をどんどん増やしていきたいというところで、展開させてもらっている商品になっています」

林歳彦さん
「『サンゴから作られているボトルなんだ』っていうことをきっかけに、遠い未来には、サンゴが育つ海の環境が自然に作れるようになるんじゃないかっていうのは、自分の中では期待しているところですね」
白化サンゴを活用し、海の保全につながる思いのこもったマイボトル。
環境にやさしいプロジェクトが、徐々に広がりを見せ始めています。