オリジナルのジン開発に踏み切った松田さんですが、酒造りはもちろん未経験。現在、材料の調達と加工は珠洲市内の事務所で、ジンの製造は以前、松田さんが視察していたイギリスの南西部・ウェールズの蒸留所が担っています。

In The Welsh Wind蒸留所 ダン・ジョーンズさん
「能登を象徴するボタニカルと、その他の材料とのバランスを上手く取りながら、いかに特徴的な香りを生み出すかという所が大変でしたが、植物に関心がある分、前向きに取り組むことが出来ました」

試作やラベル選定などを経て、去年の春に出荷が始まった「のとジン」。松田さんのデビュー作は今年3月、世界三大酒類コンテストと評される「インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション」で、なんと金賞を受賞!100か国以上から1000を超えるエントリーがあり、このうち金賞はわずか47ブランド。蒸留所のスタッフも、驚きを隠せません。

In The Welsh Wind蒸留所 ダン・ジョーンズさん
「世界的にも有名な審査員から95点の評価を得られたのは素晴らしいし、日本や能登の植物からこうした製品ができたのは喜ばしいこと。のとジンはユニークな製品で、この2~3年で、ヨーロッパ市場への展開に向け、戦略を練っていきたいと思っています」

ジンのアルコール度数は40パーセント前後。蒸留酒の仲間であるウォッカやテキーラと並び、酒類の中では度数が比較的高いとされていますが、さまざまな飲み方を楽しめるのも魅力です。
記者リポート
「ジントニックで頂きます…おいしい!ユズの香りがさわやかで飲みやすい」

珠洲市狼煙町の道の駅。「のとジン」と並んで観光客の人気を集めているものがあります。8月に発売された「のトニック」。のとジンに次ぐ新商品です。

道の駅狼煙・小寺美和さん
「私は個人的にはローリエの方が好き。(Q.あえて店の正面に置いているんですか?)これ言ってもいいのかな…。これまで『塩サイダー』が一番を獲っていたんですよね。でも、珠洲は塩だけじゃないという所を推したいと思っているんですよ。珠洲を代表するような商品になってると思います」

珠洲に移り住み、2年半。奥能登の豊かな自然は、松田さんの癒しとなっています。
松田行正さん(53)
「海を見たいなと思うとここに来て、ぼーっとする。東京にいるときはいつもバスで11時間くらいかかるんですけど、時間がかかってもいいから珠洲に帰りたいなって思いますね。やっぱり能登にいると落ち着きます」

「ジンのブランドを作りたい」夢を叶えた松田さんの次なる目標は、珠洲に蒸留所を作ることです。

松田行正さん(53)
「2020年に私は50歳になりまして。やっぱり50歳になると『残りの人生チャンスはもうないぞ』というのを感じるようになったんです。何事もやってみなければ分からないですよね」