クリニックの医師は「後遺症の患者だけが取り残されてしまう」
Aさんが受けたこの治療は、上咽頭擦過療法(じょういんとう・さっかりょうほう)と呼ばれるものだ。

このクリニックの医師によると、患者の鼻や喉に、ウイルスの一部が残り続けることがある。残ったウイルスが鼻と喉の間にある上咽頭の炎症を起こし、後遺症の原因になっている可能性があるという。

殺菌作用のある液体に浸した綿棒を、上咽頭に擦りつけて出血させる。こうして溜まった老廃物を出して炎症を解消するのだが、激しい痛みを伴う。
Aさん
「すごく痛いので、我慢しようと思ったんですけど、やっぱり痛いですね。ただ、それをやらないと良くならないんだろうなと思うので」
このクリニックには、後遺症を訴える患者が他県からも訪れるという。

茂木立医師
「去年の第7波のときがピークで、月に50人ぐらい(の患者が来た)。すごく多かった。コロナ(後遺症)の人たちは、全身のけん怠感があり、疲れやすい。確かにみんな今、アフターコロナといったコロナ禍じゃないものを求めているけれど、(後遺症の)患者さんだけが取り残されてしまうので」
今も強いけん怠感に襲われるため、3歳になる息子の世話も家事も夫に任せきりになっているAさん。手に力が入らず、食器も軽いプラスチック製のものに変えた。
夫
「箸も持てなかったので」

Aさん
「とにかく軽いものしか使えなかったから、持てないんですよ」
行政に支援を求めたが…

Aさん
「『コロナ後遺症としてのサービスはない』と言われ、受けられるサービスは本当に全くなかったです」
寝たきりの状態からは脱したものの、職場には戻れていない。このままの生活が続けば、住宅ローンを返済できなくなるため、引っ越しも考えている。
Aさん
「息子と遊びたい。公園で思いっきり遊びたいし、(保育園の)お迎えにも行きたい。今一番かわいい時期なので、色々なことをやってあげたい時期なのに、それが何もできなくて」
「日常生活で当たり前だったことを、当たり前にできるようになりたいという思いがあります」














