仕事と両立“限界”「無理をしたら全部できなくなる」

産後多くの母親が経験する「マタニティブルー」は、ホルモンバランスの急激な乱れなどにより引き起こされる精神の不調で、長期化すると「産後うつ」と呼ばれます。しかし、「産後うつ」は出産を経験しない父親にもそのリスクがあることが分かってきました。

国立成育医療研究センターによると、父親が産後1年以内に精神の不調を感じる割合は11.0%。母親の10.8%と同程度の割合です。

産後うつを経験した斉藤圭祐さん(34)
「僕がうつ病と診断されたのは2022年5・6月。直前の出来事というよりもわりと積み重ね」

自営業の斉藤さんは、第二子の次女が生後5か月の時「うつ病」と診断されました。
新規事業の立ち上げが出産時期と重なった上、子どもの夜泣きで睡眠は細切れに…長女の育児と合わせると3年間、“疲労の蓄積”が続きました。

斉藤圭祐さん
「(仕事と育児)両方やれる・できる、やるんだって思っていた。ただやっぱり限界があるんだなっていうか、できる範囲とか時間とか限られているから無理をしたら全部できなくなるんだなとはいまは思っている」

専門家は…“孤立をさせないこと”が何より重要

「産後うつ」の当事者を数多く見てきた産婦人科医で産業医の平野さんは、“孤立をさせないこと”が何より重要だといいます。

産業医・産婦人科医 平野翔大氏
「自分は悩みを表出しちゃいけない、強くあらねばならない、父親だから、というのにとらわれて全部頑張って抱えすぎてキャパシティ障害を起こす。まさにこの孤立の環境は最も重大なメンタルヘルス不調のリスク」