「母親の」産後うつは、なじみがあるかもしれませんが、今回取り上げるのは、「父親の」産後うつです。母親と同程度の発症リスクがあるといわれる父親の産後うつ。その要因は何なのか、経験者を取材しました。

ワンオペ育児で一変「ずっと楽しかった育児が急に…」

名古屋で暮らす平松さん夫婦。
やんちゃ盛りの5歳の双子、なゆたちゃんとれいくんの子育て真っ最中です。

夫婦は2012年に結婚。その6年後、待望の子どもが誕生しました。夫の勇一さんは、子どもが生まれてすぐ約1年間の育休を取得しました。初めての子育ては大変でしたが、子どもと過ごす時間は幸せだったといいます。しかし、その日々はあることがきっかけで一変しました。

平松勇一さん(37)
「(妻が)再就職してまた働きに出るというタイミングがあって、そこで週3日ぐらいのワンオペ育児を僕がやるようになって。そこのタイミングで、ずっと楽しかった育児が急に楽しくなくなってしまって

“2人分の命を1人で預かるプレッシャー”で子どもたちから片時も目を離すことができず、自分がトイレに行くことさえ不安に感じるように…そんな勇一さんの異変に気付いたのは妻の有咲さんでした。

妻・有咲さん(36)
「寝室に行ったら電気もつけずに泣いている娘と正座なのか座りながらトントントンとしているだけ。『これは結構きてるな』と思って。とにかく病院に連れて行かなきゃと思ってすごく言った気がします」

“職場復帰への不安”も…「真っ暗なトンネルにいる感覚」

2019年3月、勇一さんが心療内科で診断されたのは「うつ病」でした。

平松勇一さん
「自分で気づいたというよりは、言われてはっとしたというか」

当時は1年の育休が終わりに差し掛かった頃で、“職場復帰への不安”も抱えていたといいます。

平松勇一さん
「というのも転職して半年で育児休業に入ってしまっていたので、働いてる期間よりも長い育児休業期間に入る。そこで(職場に)戻って自分が何をすればいいのかなという不安も当然あった」

勇一さんのうつ症状は、子どもを保育園に預けられたことや職場復帰がスムーズにいったことで回復していったといいます。

平松勇一さん
「どこにも行く道なくなっちゃったなって。真っ暗なトンネルに入ってたような感覚になるんですよ、あの時って。子どもを預けて仕事の依頼が来た時に一筋の光見えたと思って」