「いつか仕返し、高校生になってから殺してやると考えた」「それでも後悔」

2週間にわたる審理の中で、長男は「父親にいつか仕返ししてやると思うようになり、高校生になって殺してやると考えました」「仕返しをすることをずっと支えに生きてきて、それを放棄すれば、これまで生きてきた意味がなくなるので、放棄はできませんでした」と父親の殺害につながった経緯を説明した。法廷では「殺害してしまったことは、ほかの道を見つけられなかったのですが、それでも後悔しています」「どうすることが償いになるのかわかりませんが、必死に考えることで償いの一部になると考え、どうにか償いの道を考えていきます」と後悔と償いの気持ちを述べる一幕もあった。
15日午後3時から開かれた判決公判で佐賀地裁は量刑の理由を次のように説明して懲役24年の判決を言い渡した。
(要旨)
・特定少年である被告人を少年院に収容した場合、収容期間は最長で3年となるところ、更生を図るためには十分ではないと考えられる
・虐待の影響や家庭内の事件であることを考慮しても、保護処分を許容できる特段の事情があるとも認めがたい
・ほぼ無抵抗の被害者らに一方的に攻撃を加えたもので、計画性も認められる
・犯行結果は極めて重大
・幼少期から父親から心理的、身体的な虐待を受けるなどしたことが、殺害の決意に大きく影響
・父親の虐待がなければ被告人が本件犯行に及ぶことはなかったといえる
・自分で叱責を受ける機会をつくるなど、犯行を誘発した側面があることは否めない
・父親を殺害することに集中するあまり、母親を巻き添えにしてまった
・母親が制止しようとする事態は当然、予測できたはず
・動機や経緯は身勝手で自己中心的と言わざるを得ない

岡崎忠之裁判長は判決の宣告後に「この期間はあなたにとって決して短い期間とは言えないかもしれません。罪の重さに改めて向き合い、深く考える期間にしてください。裁判であなたは残りの人生は消化試合みたいなものと言いました。しかし、妹や親族、そして父や母も望まれていないはずです。いつか目標を持って生きてもらいたい」と説諭した。
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